由加山北参道の丁石

由加山北参道の丁石


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丁  石

 町石とも書く。日本石仏事典第二版p329では、「町石(および下乗石)」として、「丁石とも書く。平安時代に天台宗や真言宗は俗塵を離れた山岳に寺院を建て、修学研鑽の場とした。参道が長いことから、伽藍まで何丁、奥院まで何丁と道標を兼ねて目的地までの距離を示すものが町石と呼ばれる石造物で、その形式としては笠塔婆、板碑、五輪、卒塔婆、角柱、自然石のような比較的簡略化されたものを選び(以下略)」とある。
 しかし、岡山県内の街道(往来)を歩いた範囲では、笠塔婆や五輪のような大がかりな丁石を見た記憶がない。いずれも素朴で、簡素なものばかりだった。

由加山北参道の丁石

 北参道の丁石は、36丁の石柱道標を除けば舟形石仏である。そして、正面に向って仏が立ち、合掌されている。風化の影響もあってどの石仏も「優しく、純朴な」姿である。
 資料2によれば高さ約70cm、最大幅35cm、厚み20cm程度である。さらに同資料から形態について引用する。「すべて正面に合掌した立像を半丸彫式に陽刻・立像の右又は上方に〇〇丁と漢数字で横書きにした里程がきざんである。右には寄進者在所、左には寄進年月日を記しているのが一般的である。寄進者在所は児島郡福田村・林村・木見村となっており、個人名は記していない。寄進年代は7体に記してあるが、いずれも明和四年(1767)である。」

今回確認した丁石(北参道)

北参道経路及び丁石の所在

確認日:平成28年5月15日
確認者:高田、池内、川上、衛藤(文責、サイト管理人)

 右欄の写真をクリックすると拡大画像が表示されます。

丁数形状・表記備  考写  真
65[舟形石仏・合掌立像]
65丁
丁数判読できず。資料1p13による。
民家の庭先。金比羅往来(下津井往来)路傍。
六十五丁
54[舟形石仏・合掌立像]
従是ゆか山 五十四丁
當村 佐藤里右衞門
熊野神社参道横の阿弥陀庵(53番札所。資料1p24の大願寺は廃寺)正門軒先五十四丁
38[舟形石仏・合掌立像]
三十八丁
瑜伽山 福田新田
五ノ割内
左者ざ川八者満道
上部破損あり。このため丁数が二十八に見える。
JR瀬戸大橋線木見駅南
三十八丁
36[石柱道標]
従是ゆ可山三十六丁
奉寄進
瑜伽大権現
(側面)明和四丁亥九月吉日 願主(以下土中)
高さ約60センチ。森池端の鳥居足元。三十八六
35[舟形石仏・合掌立像]
三十五丁
當郡福田新田
古屋野才三郎
高さ約65センチ。森池東岸、路傍。注連柱の足元。三十五丁
34[舟形石仏・合掌立像]
三十四丁
當郡林村
辻□之□
高さ68センチ。森池東岸、路傍。木の下。三十四丁
33[舟形石仏・合掌立像]
三十三丁
備中都宇郡二子□□
資料1p25では、高さは六十五センチ、中央に割れ目、とあるが、資料2には上部文字部分欠落とし、丁数の判読ができていない。今回見た時は真ん中で割れたものを上に載せていた。一部欠損か。森池東岸、路傍。竹林前三十三丁
32[舟形石仏・合掌立像]
三十二丁 當郡木見村志茂中
高さ約70センチ。森池湖東岸、路傍。民家手前三十二丁
31[舟形石仏・合掌立像]
三十一丁 當郡木見村
高さ約67センチ。森池東岸、路傍。分岐の少し先。三十一丁
 9[舟形石仏・合掌立像]
九丁 當郡木見村正武多中明和四亥九月日
高さ72センチ。県道北の山中。廃道に近い。立ち入り禁止はオリエンテーリング参加者用と判断。九丁
 8[舟形石仏・合掌立像]
八丁 當郡木見村正武多中 明和四亥九月日
高さ81センチ。県道北の山中。墓地前。八丁
 6[舟形石仏・合掌立像]
六丁 當郡木見村大賀中 明和四亥九月日
高さ70センチ。松の井の井戸(池田候茶の湯井戸)跡横。林道の路傍。六丁
 5[舟形石仏・合掌立像]
五丁 當郡木見村大賀中 明和四亥九月日
林道の路傍五丁
 4[舟形石仏・合掌立像]
四丁 當郡木見村大賀中 明和四亥九月日
林道の路傍四丁
 3[舟形石仏・合掌立像]
三丁 當郡木見村大賀中 明和四亥九月日
右手に池が見える。道の左側三丁
 2[舟形石仏・合掌立像]
二丁 當郡木見村大賀中 明和四亥九月日
右手に池が見える。道の左側二丁
 1[舟形石仏・合掌立像]
一丁 當郡木見村大賀中 明和四亥九月日
蓮台寺参道階段に横から入る道、並ぶ献灯の一番階段よりの後ろ一丁

※ 丁石には丁数、建立年月、寄進者などが記述してある。我々が確認した平成28年5月15日現在では風化が著しく、判読できないものがかなりあった。このため、下記の二つの資料を参考に、以下の方針で記述した。

  1. 歴史の道調査報告6p24-26。(書誌は当サイトの参考文献参照)
  2. 由加参道調査報告書、岡山県観光連盟、昭和55年


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