七十歳で図書館アルバイトに応募した(十)

 少し残念だったが、ほっとする気持ちの方が大きかった。嘘ではないが誇大広告に近い履歴書を書いた。なにせ十年前の知識と経験である。必死で勉強しないといけないと思った。昨年少し働かせてもらった職場に行く前は、晩酌を止めてオフィス(outlook,word,excell)の復習をした。今回もし採用されたら、しばらく晩酌中止だな、と思っていた。
 もうひとつひっかかったことがあった。僕の老後のテーマの一つに弱視者が読みやすいホームページの問題がある。弱視者のためのタブレットを使った読書支援に関する講演が県立図書館であった。何かヒントが得られるかも知れないと思って参加した時、顔見知りの県立図書館員に会った。忘れていたが、十年ほど前に、その人にクレームをつけたことを思い出した。嫌な爺だと思っているだろうな、と思った。相手は忘れているかもしれないが、そう思いながら一緒に仕事するのは嫌だな、と感じた。クレームには僕なりの理由があるのだが。まあ、面接にも届かなかったので心配する必要はなかった。


 先にも書いたが『図書館員の異動を防ぐために、図書館の評価を周囲に認めさせることは、図書館で現在働いている司書の責任だ』という気持ちが強かった。岡山空襲があった日の前後の新聞に関することで、これでは市民に不満を持たれると思って、かなり強めに苦情を言った。今はそんなことはしない。これについても詳細は省く。

 これで七十歳での図書館アルバイト応募の体験記は終わりである。この経験を通じて今まで気づかなかったことを記す。

 それにしても、昨年採用してくれた会社はある意味すごいなあ、と思う。そして、感謝する。

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