即今不可謂多難之御時節、些少
之事件より御安危ニ相拘り、大害をも
可醸出、別て如何之至ニ付、公論決定
叡断之上、発砲号令之者、罪科ニ被処
候ニ付、早々可差出被仰付候条
皇国之大事を体認し、可奉安
宸襟候事
二月
別紙[注①]
御官名家来
日置帯刀
神戸通行之節、行列へ立障り候由ニて
英人へ兵刃を加へ、剰逃去候亜仏人並
公使へ及砲発、理非之応対ニも不及如何ニも
妄動之所為、不届之至ニ候、即今更始
御一新、国事多難之折柄、深被為悩
現在の筆舌に尽くしがたい多難の時期に、些細な事件から、国家の安危に係わる大害をも引き起こし、例のないような大事に至ることがある。
そのことを踏まえて議論をまとめ、天皇のご判断を仰いだ上、発砲を号令した者を処罰されることになった。ついては、早々に差し出しすよう仰せ付けられた。そのことが、皇国の大事であることを十分に認識し、天皇のお心を安んじ奉るべきである。
二月
[〇岡山藩内の通達・別紙(宇内之法によって処断、発砲号令之者の割腹、罪科人の氏名の提出の命令)]
別紙
備前少将家来 日置帯刀
神戸通行の際、行列を邪魔したということで、英人に兵刃を加え、その上逃げる米人・仏人および公使へ発砲したことは、理非を考えるまでもなく、いかにも分別を欠いた行為であり、不届きの極みである。目下、更始御一新により国事が多難な折、深く天皇の御心を悩まさせ、