このサイトについて

1.設置の目的

 慶応 4年1月11日に神戸において、岡山藩家老日置帯刀率いる一隊と英米仏など外国軍隊が衝突し、外国軍が居留地を中心とした神戸を占領、停泊中の日本艦船を拿捕した。
 外国公使団はこの力を背景に、新たに日本政府となった朝廷に対し、日本側の謝罪と責任者の処罰を要求した。明治新政府はこれを受け入れ、最初の発砲を号令したとして日置帯刀の家臣、瀧善三郎正信の切腹を以て事態を収拾した。
 『神戸事件』とも呼ばれるこの事件は、一般にはアーネスト・サトウの著作(A Diplomat in Japanや日記)など外国公使の回顧録の邦訳をもとに語られることが多い。

 このサイトは、もう一方の当事者であった岡山藩の資料を含め、広範囲な情報を収集し、紹介することを目的としている。

2.文献リストの作成

 幕府権力の崩壊と開国が絡み合って、内戦へと突き進んだ。その大きな波のなかで神戸事件が起きた。そこでは武士と公家と外国人がそれぞれの思惑で動き、一人の青年の死で決着がつけられた。
 何が起きたのか、を考えるために、できるだけ広い範囲の資料に目を通した。そして、収集した資料について文献リストを作成した。論理の組み立ての根拠を示すと同時に、他の方々がこの事件を調べるときの助けになることを願ってである。
リストの名称を『神戸事件の基礎資料』として、当サイト内で適宜公開する。書誌記述は、閲覧者が該当資料に出会えることを第一目的としている。様式の不統一は御容赦願いたい。

 なお、できるだけ広い範囲の情報を集めるために、多くの図書館・資料館・教育委員会などにお世話になった。以下に列挙して感謝の意を表する。

【岡山県内の機関・施設】

岡山大学附属図書館
池田家文庫の閲覧および画像利用
 何より、池田家文庫に関するデータベースのインターネット公開は個人の学習者として非常にありがたい。
(時々記述に疑問を呈するのは、より正しい情報に近づくためで批難する意図はまったくない。同システムを構築された方々すべてに敬意を持っていることを申し添える。)
岡山県立図書館
岡山県内、他県郷土史資料、「明治維新神戸事件」の閲覧、その他資料の閲覧。万国公法、ラウダーに関する参考調査
岡山市立図書館
「瀧善三郎正信を中心とする神戸事件回顧展記念帖」および「維新の烈士 瀧善三郎正信 (顕彰碑除幕記念・写真)」その他の資料の閲覧
岡山市立御津図書館
「御津町史料第四集 神戸事件と滝善三郎編」および「神戸事件瀧善三郎正信の京師大光院跡収骨之碑確認報告」の閲覧、その他資料の閲覧
岡山県立記録資料館
岡山大学池田家文庫マイクロフィルムの利用。古文書解読の支援
岡山市御津郷土歴史資料館
瀧善三郎生地などの教示
【岡山県外の機関・施設】
兵庫県企画県民部管理局文書課文書管理班
姫路討伐と西宮警備の関連について
神戸市立図書館(中央図書館、兵庫図書館、東灘図書館)
旧兵庫に関する資料、徳川道関係資料、その他資料の閲覧、「本山村誌」に関する参考調査
神戸市兵庫区役所
地図「知れば知るほど兵庫区歴史回道」の紹介
永福寺跡の現在の地名
神戸市立博物館
「岡山藩家老日置忠自筆御用勤書上」原文画像の閲覧
神戸市立文書館
「日載」の閲覧
宇和島市教育委員会 文化・スポーツ課
須藤但馬について
鹿児島県歴史資料センター、黎明館調査資料室
新納軍八について
山口県文書館および山口県立図書館
祖式金八郎について
 どの図書館も文書館も丁寧で正確だった。何より、豊富な蔵書に驚いた。館種は異なるが、その世界の端っこで働いていたことを誇りに思うようになった。

 その他、多くの機関、個人の資源を利用させていただいた。また、瀧善三郎正信の曾孫に当たられる瀧正敏氏のご教示も頂いた。

 さらに、岡山県立記録資料館のボランティアの方々のご指導に感謝する。また、国立国会図書館デジタルアーカイブで多くの絶版資料を閲覧できたことはたいへんありがたかった。この事業を多くの人に知っていただきたい。

3.デジタル公開している資料へのリンク

 政府関係の資料や明治から大正の出版物のうち、著作権保護期間が終了し、国立国会図書館および国立公文書館などがインターネット公開をしているものは、当該サイトがリンクフリーであることが確認できたのちリンクしている。なお記載している『確認日』は、サイトが運営されていることを確認した最終日である。時々点検して更新する。

 複数機関がデジタル公開をしている場合、一機関のみにリンクしている。国立国会図書館が含まれる場合は、同館を優先した。

4.古文書の解読

 池田家文庫については、重要と思われるもののいくつかを岡山県記録資料館ボランティア(平成30年度)有志のグループで解読作業を行っている。
 解読がすんだものについて、原典を所蔵する岡山大学附属図書館の許諾を得て、原文画像、解読文を掲載している。作業の進捗にあわせて順次公開する。

 前記により解読できたものを中心に、口語訳文を作成する。原文の流れにできるだけ沿うように訳すが、事実関係を明確にするために、時に意訳することがある。その場合、根拠となった資料を『補足』等として補記した。これに対する文責及び著作権は編者にある。
 池田家文庫以外の古文書については、所蔵あるいは公開機関の基準に従い、適宜判断する。

5.推論について

 同じ事柄に関する情報が資料によって異なった場合、比較検討し、このサイトなりの推論を示す場合がある。その場合は判断の経緯と根拠となった情報を記述する。

 状況の推測には一次資料を中心に考えた。評論類は論拠となった原資料を知る素材として利用し、時には原資料を読んで分らないところを判断する手がかりとして活用させていただいた。

 できるかぎり幅広く検討したが、編者の能力不足、資料の未読などにより、まちがった結論を出すこともある。あくまで個人の推論であることをお断りしておく。まちがいに気づいたら早急に修正する。修正の経緯も補記する予定であるが、当サイトの第一版の完成までは、経緯を記さずに修正することもあることをお断りする。
 なお、第一版の完成目標は、平成30年3月31日とするが、作業の進捗状況によって変更することがある。
 作業環境の変化により、調査および更新を一時休止します。このため、初稿の完成時期は未定です。

6.当サイトに掲載している情報の利用について

 池田家文庫を始め、古文書の画像の利用は岡山大学附属図書館など所蔵・収蔵している機関の許諾が必要です。転用はお断りします。
 当サイトの画像も許諾が必要なものは許諾を受け、自由使用と推測できるものでもそのことを再確認して利用しています。それぞれの所蔵機関の許諾要件を確認して下さい。

 ボランティア有志が作成している池田家文庫の解読文の著作権は、解読グループに属します。『神戸事件資料解読グループ』によると明記して下されば転載自由です。連絡不用です。
 口語文の著作権は編者に属します。『サイト神戸事件を考える』によると明記して下されば転載自由です。連絡不用です。
 風景・遺跡の写真のほとんどは編者が撮影したものです。上記のように出典を示していただければ自由に使って下さって結構です。こちらも連絡不用です。
 商用サイトでも転載可能ですが、アダルトサイトや政治目的での利用はお断りします。また、利用に伴って発生する諸問題については当サイトでは一切関知しません。
 編者以外の方が作成された写真・画像などを借用した場合は、その旨明記します。この場合は、転用などはお断りします。

7.その他

【藩名について】
 備前藩という呼称の方が相応しい場合もあるが、岡山藩で統一した。
【年号について】
 神戸事件の発端は慶応4年1月11日である。収拾のために瀧善三郎が切腹したのが、慶応4年2月9日。明治元年9月行政官布告第726により慶応4年は明治元年とされたので、明治元年とすべきかも知れない。
 しかし、それまではすべての人が慶応として暮らしていた。それで、このサイトでは、布告が発せられる以前を慶応4年とした。
 ただし、引用などでは引用元の記述を用いる場合がある。
国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている布告はここ

【間違いについて】
 正確を期していますが、まちがいや見落としもあると思います。ご連絡いただければ有り難いです。資料などをもとに検討し、間違いが確認できれば補記して修正します。
 なお、雑多な日々に追われているため、回答・修正が遅れることがあります。

【連絡先】
メールアドレスの画像
 画像になっています。お手数ですが、上記メールアドレスを打ち直してくださるようお願いします。

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