日置帯刀摂州神戸通行之節外国人江発砲之始末書 9

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日置帯刀摂州神戸通行之節外国人江発砲之始末書の9ページめ

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*** 解読文 ***

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候処、右一条御門陛下へ奏聞被成候付
如何なる処置ニて、各国公使共満足可有候哉
委細書面ニ可申達旨、閣下ヨリ被申聞候付
則左之通り
一 無故公使並其人民を襲候段
御門陛下之政府より以書面各国公使へ
十分詫入、且、後御門陛下之領分
ニテ、在留之外国人ニ向ひ、決て右様之暴行
再度有之間敷段、急度請合可申事
尤各国公使より夫々国許政府へ通達可
有之筈ニ候
一 外国公使並在留諸外国人ニ対し発砲する
様下知致セし士菅[注① 官か]ハ死罪之事、尤各国
公使館附属士官[注②]立合ニて仕置すへき

右之通如斯悪行之者無遅滞限然ニ罰


【注①】復古記第一冊巻二十一ページ六〇四では『官』。なお、英語原文は『officer』である(大日本外交文書第一巻第一冊ページ二四七)。英和辞典では『将校』が訳語の先頭に来る(リーダーズ英和中辞典、研究社、二〇〇七年刊など)。日本語の感覚であれば将校の方が適している。
【注②】この英語原文も『officer』である。士官というよりは、役人=職員の方が適している。実際に切腹に立会った外国人のうち職種が明確な五人中軍人はクリーフトン(アメリカ、海軍士官)だけで、他の四人は文官である(大日本外交文書第一巻第二冊、附録三)。 次の解読文へ

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*** 口語文 ***

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ましたところ、このことは天皇陛下へ申上げになる。それに当たってどのようにすれば各国公使達が満足するかを文書で申入れるよう(東久世)閣下から伝えられました。次の通り申上げる。[注①]
一 理由なく公使およびその人民(居留民)を襲ったことについて、天皇陛下の政府から文書で各国公使へ十分詫びを入れること。かつ、今後天皇陛下の支配する地域で、在留の外国人に対して、決して前記のような暴行を再度起こさないことを、固く請合うこと。そうすれば各国公使はそれぞれの母国政府にその旨通達するであろう。
一 外国公使および在留諸外国人に対し発砲するよう命令した士官[注②]は死罪にすること。なおかつ、各国公使館所属の士官立会いのもとに処刑すべきである事。
以上の通り、このような悪事を犯す者には遅滞なく厳然と罰 


【補注】
【注①】復古記第一冊巻二十一ページ六〇四では『申進候』とあり、それを参考に言葉を補った。
【注②】将校としたいがそのままとした。解読文の注②を参照。次の解読文へ

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