日置帯刀摂州神戸通行之節外国人江発砲之始末書30

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日置帯刀摂州神戸通行之節外国人江発砲之始末書の30ページめ

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*** 解読文 ***

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被為在種々御詮議之末、前夜ハ及深更、太政官
代より議定之御方御参内ニて
叡断ヲ被仰候程之御事之由、同廿一日
太政官代より尚又留守居之者御呼出ニて宇和島侯
御下阪ニ付、兵庫一件書取、早々差出候様松尾
伯耆より被申聞候付、左之通宇和島侯へ差出ス
去ル十一日、西宮為出張、兵庫駅出立、同勢繰出[注①]
神戸町通行之砌、先手行列之中間へ、外国人
両人左手より右へ通掛候ニ付、差押候内、通詞
之者取扱相止申候、尚又一人右手より左へ通り
懸掛候ニ付差押候処、次之隊へ掛り割込候ニ付
色々取扱手間似ヲ以、供先へ相廻り候様申
諭候処、殊之外憤怒之顔色ニて大声ヲ発し
理不尽ニ押通り、同時左手人家よりも壱人短銃
ヲ以出会、狙掛候ニ付其場勢、不得止得道具
を以突掛り候処、浅手ニ御座候哉、何連も家内へ


【注①】同一文書を正月十六日、三条実美に提出している。岡山藩として、具体的な最初の報告。復古記「忠尚申状」および当文書一頁に三条公へ提出した文書の写を掲載。同頁注参照。 次の解読文へ

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*** 口語文 ***

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いただき、色々御詮議の末に、前夜は(会議が)真夜中までおよび、太政官代から議定の方々が御参内になって、天皇のご判断を仰ぐほどのことであった由。
 同二十一日、太政官代から、さらに留守居の者お呼び出しになり、宇和島侯が大坂へ下られるので、兵庫の一件を書取り、早々差出すよう、松尾伯耆から申し聞かされた。それで、次の通り宇和島侯へ差出した。

  [〇日置帯刀名で衝突を報告した書類(忠尚申状)]
 去る十一日、西ノ宮へ出張のため兵庫駅を出発しました。我が隊が進軍し、神戸町[衝突時は村]を通行の際、先頭隊列の中間に外国人二人が左側から右へ通りかけたので、この者達を差し押えました。通訳があいだに入って、彼らを止めましたが、さらにまた一人の者が右側から左へ通りかけたので、差し押さえたところ、次に続く隊にかかり、割り込みました。それで、さまざまに対応し、手真似等をもって、隊列の先へ回るように言い聞かせたところ、ことのほか憤怒の表情になって大声を出し、理不尽に押し通りました。
 同時に左側の民家からも一人短銃を持って出て来て、狙いかけて来ました。その場の行きがかり上、やむを得ず持っていた槍で突きかけました。
 浅手だったのか、夷人はみな、家の中へ


【人物】
松尾伯耆 次の口語文へ

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