朝裁彼是申上候心底無御座候、此段御請
申上候様申付越候、尤国情之義ハは重役より
可申上候間宜御亮察希候 以上
正月廿二日備前少将内
澤井宇兵衛
右国情之義ハ、於当藩癸亥、甲子以来攘夷之[注①]
叡慮奉戴仕候より、一藩敵愾之気固詰仕、外国
人之為越度ニ相成候てハ、御国辱無此上義と
御処置振一同仰望罷在候国情ニ御座候間、此辺
之情実、御斟酌被為下度段、詰合之者より御役
方へ申上置候
一 同廿二日御届[注②]
備前守家老日置帯刀義
御用被為在候間、早々上京仕候様被
仰出候ニ付、夜前御当地参着仕候、此段御届
申上候、以上
正月廿七日備前少将内
澤井宇兵衛
朝廷が裁断されたことにかれこれ申上げる気はまったくありません。このことをお請けするよう言って来ました。備前藩としての国情は、重役から申上げるので事情をご理解いただきたくお願いいたします。以上
正月二十日 備前少将 家来
澤井宇兵衛
[〇岡山藩の国情説明]
前記の国情につきましては、当藩は癸亥(文久三年)、甲子(文久四年・元治元年)から攘夷の叡慮を奉戴して、藩がすべて攘夷の気持ちで固くまとまっております。このため、外国人のために失策になったとなりました場合は、当藩の恥はこの上ないことと、御処置の結果を、藩内一同仰望している国情です。この辺の気持ちを御斟酌下されたく、(京都)詰合の者からお役方へ申上げます。
[〇帯刀京都到着の報告]
一 同二十二日お届け
備前守家老、日置帯刀について、御用があるので、早急に京に上るよう、仰せられましたので、夜前、御当地に参着いたしました。このことをお届け申上げます。以上。
正月二十七日 備前少将 家来
澤井宇兵衛